『宿命反転都市』を日本に建設するための戦略(id:kotohogisinji)

hantenkai2005-05-11

僕の第一の具体的な目標は、5年以内に荒川修作が創る宿命反転都市(写真)を、日本に実際に建設することです。
現在のところ、日本にある荒川修作の建築物は、岐阜にある養老天命反転地と、岡山にある奈義の竜安寺、万博関連で造られた名古屋の志段味循環型モデル住宅、そしてもうすぐ完成する三鷹天命反転住宅の四つです。
しかし養老と奈義は人が住む家ではありませんし、志段味は荒川さんの構想が部分的にしか活かされていません。唯一、荒川さんが思うように造ったのが三鷹天命住宅ですが、わずか九組の家族が住めるだけの小さなマンションであり、これでは荒川さんの本来の目的である、新しい人間による共同体を創ることはできないだろうと思われます。
今まで荒川さんは、何度も日本に都市を創ろうとチャレンジしてきましたが、ことごとく失敗しています。隅田川の上に巨大は橋を造り、その上に長寿村を作ろうとする計画、宮崎駿と協力して福岡の小島に都市を造ろうという計画、東京の臨海副都心に宿命反転都市を造るという構想、すべて実現はしませんでした。
なぜか?
多くの問題があると思いますが、まず荒川さんの住宅はあまりにも突飛な形をしているために、なかなか一般の人々に受け入れられないのではないかというのが考えられます。床が平らではなく、ぐにゃぐにゃしていたり、一階が正方形なら、二階は球形という具合なのです。
もう一つ、日本では荒川さんはマイナーであるという問題があります。
結局今のところ荒川修作を知っているのは非常に限られた人間なのです。荒川修作は世界的に著名な現代芸術家ですが、日本人で荒川の名前を知っているのは十万人切るでしょうし、詳しく知っている人は一万人、いや下手したら千人以下かもしれません。
荒川修作は日本ではまだまだ無名なのです。
でもそれはいいことだと僕は思います。毛沢東が言ったという、人間が何ごとかを成し遂げるための条件は、若いこと、貧しいこと、そして無名であることの三点です。荒川修作は無名であり、都市を創るほどのお金はありません。そして彼は68歳ですが、髪は黒く、肌はつやつやして、眼鏡もしていない。つまり非常に若いのです。
僕達は荒川さんと協力して、必ず宿命反転都市を実現させます。
ではどうすれば実現できるのか。
それは都市を造るお金を出してくれる人を探すことです。
しかし、儲からなければ、つまり多くの人が荒川さんの住宅に住みたいと思わなければ、誰もお金など出してくれないでしょう。
まずは日本の社会に荒川建築を受け入れさせる必要があります。
荒川さんをメジャーにし、みんなが荒川建築に住みたいと思うようになれば、企業もどんどん資金を提供してくれるはずです。
荒川建築を有名にするための戦略。
二方面から日本社会を挟み撃ちにします。
アカデミズムとジャーナリズムの二方面です。
90年代、アカデミズムとジャーナリズムに批評が棲み分けてしまったと言ったのは、東浩紀です。アカデミズムの批評(文章としての強度はあるが、社会に受け入れられていない)と、ジャーナリズム(知的緊張はないが、多数の読者への現実的効果がある)に分かれてしまったと。そして
アカデミズムの批評の代表が浅田彰であり、ジャーナリズムの代表は福田和也であると東は言っています。
そして、浅田彰も、福田和也でさえ、荒川さんのことは何も語っていません。
これは、アカデミズムとジャーナリズムの批評の世界、双方で荒川さんは認められていないということになります。
誰かに、日本の批評界を代表する誰かに荒川さんを語らせなければいけないのです。
荒川思想、荒川建築の素晴らしさを語ってもらわなければ問題は解決に向かわないのです。
それを実現するために、僕達は具体的なプランを現在たてています。
ニューヨークの荒川さん本人ともFAXを通じて、積極的に連絡を取り合っています。
ただしここで注意してほしいのは、僕が最初に言ったジャーナリズムと、東浩紀のいうジャーナリズムの批評とはだいぶ違うということです。
結局、一般の本を読まない人々から見れば、浅田彰福田和也もアカデミズムの人間にしか見えないのです。そもそも二人のことをほとんどの人は知らないでしょう。90年代で最も著名な言論人だった社会学者の宮台真司でさえ、大学生50人のうち、1人しか知らないといいます。
日本の批評界で認められるというのは、アカデミズムで荒川修作がメジャーになるということなのです。
そして僕が言うジャーナリズムでメジャーになると言うのは、全く本を読まずテレビのバラエティー番組しか見ない女子高生や、会社員の親父さんでも知っているということです。
例えばSMAP、卓球の愛ちゃん、イチロー、そのレベルで荒川修作のことが認知されなければ、宿命反転都市の実現は厳しいと思います。
フジテレビや讀賣新聞、週間文春、プレイボーイで、ばんばん荒川特集がされなければいけません。そしてあのぐにゃぐにゃの床の家に住むことが、どれだけ素晴らしいのかを国民に納得させなければ状況を動かすことはできません。
そのためのプランもいま動き出しています。
アカデミズムとジャーナリズムの両面から日本を揺さぶり、多数の国民が荒川建築に住みたいと思うようにしていく。
それが宿命反転都市を実現する最短距離だと僕は考えています。